杏の林 中医・養生・薬膳ブログ
2020年1月15日 改正
中医学、薬膳の理論、ちょっと難しそうだな?
と思う方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、先入観を捨て角度を変えて捉えられれば、
とっても合理的で役に立つ、非常に面白い学問です。
私はそのお陰で、本当に物の見方も変わりましたし、人生が豊かになったと思います。
“温故知新”
昔のことを研究して、そこから新しい知識や道理を見つけ出す。
中医学はホコリが被った使えない骨董品、ではありません。
中医学とは、薬膳の理論とはどんなものなのか?
少しお話しします。
【薬膳の基礎となる中医学】
中国の伝統医学は、西洋医学とは違った特有の視点で患者に診断、治療を施します。
その歴史は大変長く、数千年もの臨床データをもっていますので、症例や治療法の内容は非常に豊富で、我々日本人の想像を超える大変奥深いものです。
中医学は古より多くの人々の心身と健康を守り、様々な疾病を改善してきました。
そして現在も温故知新で進化し続けています。
一つの症例を証明するのに、3代(ひ孫世代?)必要だと聞いたこともあります。
数千年の間緻密にデータを集め、理論を体系的にまとめ上げてきました。
その根気強さには本当に脱帽です。
中国人の文化を残そうとする想いは、他と比べて取り分け強いようです。
多民族で形成されている大国ですし、歴史的にも政変が激しかったので、
自分たちの文化を継承し残していくには、命がけだったことも多いようです。
実は中国の武術や太極拳の世界でも、同じことが言えます。
“西洋医学とは違う視点” ということで言えば、
中医学は「整体観念」を元にしています。
「人の体は、統一された整体」であり、
また 「人間と自然環境も統一されている」という考え方。
各々が別々で存在しているのではなく、互いに関連し影響しあっている、
という事を基本概念にしています。
そのほかに、陰陽五行学説、蔵象学説、気血津液学説、経絡学説、病因、病機、予防と治療原則などの内容があります。
診断方法は、大変独創的です。
望診 (観る)、
聞診 (匂い、音を聞く)、
問診 (質問)、
切診 (脈や腹に触れる)、
いわゆる「四診法」を使う事で、患者さんの身体の状態を把握し、その人それぞれ身体の状態を細やかに診断できます。
それに基づき弁証し、
治療の方針を決め、
ある時は方剤(漢方薬)、ある時は鍼灸など、状況に見合った方法を使い治療します。
いわゆる「弁証論治」するこで、一人一人に合ったオーダーメイドの治療ができるのが中医学です。
その他諸々の概念があります。
そして「薬膳の理論」もまた、その「中医学理論」を基礎としています。
【営養 薬膳学とは?】
営養薬膳学は歴史ある一つの学問で、貴重な文化遺産と言えます。
中医学の理論に基づいて、
薬食同源、医食同理 に従って、
中医の営養学を運用し、
方剤(漢方薬)の薬剤を調合するように、食材や、時に中薬(漢方薬の薬剤)を構成し、
調理された膳です。
学問と言ってもただの机上の空論ではなく、
私達の生活に大変活用できる、非常に実際的かつ実用的なモノ。
これによって
病気を予防し、
時に治療、
健康の回復、
長寿、
を目指すことができます。
中医薬膳学を理解できれば、自分で自由に身体に合った食材を選択することができます。
考え方は色々あるとは思いますが、
私は、薬膳師は料理を作る人ではなく、
“薬膳理論の知識を理解して運用できる人”
と捉えているので、あまり自分で作ることにこだわっていません。
もちろん自分で作れればベストなのでしょうが、
仕事をしていますと現実には難しいことも多く外食も多くなります。
しかしそんな時でも薬膳の知識を知っていれば、
舌の状態、脈の打ち方をみて診断し、弁証し、
自分にとって、または家族にとって、
今どんな食材が必要で、どのメニューを注文したら良いのかが分かります。
各々の生活スタイルに合わせ、
生活の中に柔軟に薬膳学を取り込むことができれば、健康と養生、治療、がかなう訳です。
中医営養薬膳学、はまさに人類の宝庫と言えるでしょう!
【まずは王道の理論を押さえよう】
中医学の基礎を身につけることは、薬膳を学ぶ上では必須です。
近年日本でも“薬膳”という言葉が少しづつ認識されてきています。
その一方で、薬膳の考え方が正確に普及されていない、という実情もあるようです。
梁蓓先生は、
食事を作る際に、
“枸杞(クコ)の実”や“棗(ナツメ)” など、薬膳によく使われる食材を何コレ構わず入れればいい…と言うものではないですよ、とよく仰います。
また薬膳に興味があるので、
ネットや本で情報を集めてみたけれど、
知識をバラバラに理解していてなかなか結局活用できない、という方も結構いらっしゃいます。
これは、体系的に薬膳の理論を理解すれば解消しやすいと思います。
薬膳は、
中医学の理論に基づいて、
薬食同源、医食同理 に従って、
中医の営養学を運用し、
漢方薬の薬剤を調合するように
食材や、時に中薬(漢方薬の薬剤)を使って構成された膳です。
なので結局は、王道の中医学理論を全うに学ぶのが早道であり、また避けては通れない道です。
中医営養学・薬膳学は一つの素晴らしい学問です。
自分が謙虚に学ぶ姿勢が無いと、
‘正確に伝える’ ことは難しく、
またそうでないと一つの学問の生死に関わると思うので、怖い。
伝える側としては極力正確に普及出来るようにしたいので、
私自身も日々学ぶ “生涯学徒” でありたいと想います。
☆☆☆[関連記事はこちら] ☆☆☆
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【私が学んだ場所】
私の母校、北京中医薬大学日本校(現在の日本中医学院)では、中医学と合わせた正統な薬膳知識、中医薬学を学ばせて頂きました。
日本に居ながらにして本場中国伝統医学を身に付けることができます。北京中医薬大卒の一流の中医師の先生方から、中医学や薬膳学を学べる貴重な学校です。先生方は非常に熱心で丁寧にご指導してくださいました。また事務局の方も中医の知識に明るいことに驚きました。大変お世話になりました。
(●北京中医薬大学提携「日本中医学院」
https://www.jbucm.com )
また卒業後に梁蓓老師(北京中医薬大学卒・中医師)主宰の「日本中医営膳会」に所属しようと思ったのは、"普及する者として、正しい知識を正確に誠実に伝え、理論と実践を兼ねて普及する事” を重視しており、私はそこに惹かれてこの会に所属しようと思いました。
先生はとても明るく温厚で実力は一流、学生のみなさんも大変熱心、とても素敵な会です(^-^)
(●一般社団法人 「日本中医営養薬膳研究会」
http://www.chuui-eizenkai.jp )