杏の林 中医・養生・薬膳ブログ
〜春の養生〜
久々の投稿です。
(“春”のお話にしては遅い投稿、すみません)
中医学では、“肝”には「疎泄」(そせつ)という機能があるとされています。
気の巡りがスムーズに伸びやかに全身へ行き渡るように調節する機能で、気や血液の運行、臓腑の働きを正常にします。
それにより感情を穏やかにコントロールできます。
春は「生」の季節。
陽気は盛ん(暖かく)になり、植物は萌芽(ほうが)し、生物は目覚め、人も活発に活動し始めます。
春は肝と深い関わりがあります。
この時期、肝の働きは活発になり新陳代謝が旺盛になります。肝の「疎泄機能」は、春の「生」性質に似て、
〜伸び伸びとすることを好み抑制を嫌う性質〜 を持っています。
なので精神的な抑圧は、肝の疎泄の働きを阻みます。すると肝の疎泄の働きは鬱し、気の調節がスムーズに出来なくなり、怒りっぽくなったりイライラし易くなります。
『黄帝内経』では、肝気が鬱しないように、軽い運動や散歩などをして伸びやかに過ごし、情緒の安定を心がけることが、春の養生法の一つとされています。
〜養生の基本〜
コロナウィルが猛威を振るう昨今。
4月の始めに、政府より緊急事態宣言が各地域で表明され、更に “自宅自粛” の呼びかけが強まっています。
それに伴い、生活習慣の急激な変化や運動不足、精神的ストレスによる体調不良を訴える方々が増えています。
薬膳と並び、古い伝統の太極拳や気功などは “本当に力を抜いて丁寧に『放鬆 ファンソソン(全身を緩める)』 して練習 ”すると、全身の気血や陰陽五臓のバランスが整うようになり、体内の正気(免疫力)を養い、
「正気存内、邪不可干」“正気(≒免疫力)を内に保っていれば、邪気(病邪)は体内に入れない”(『黄帝内経』 上古天真論)
という状態になります。
正気を守ることは養生の基本です。
薬膳と共に、太極拳や気功を行うことで、その効果は高まります。
私は伝統太極拳を学んできました。そしてやはり中医学や薬膳学との深い関連を感じざるを得ません。
運動には色々なものがありますが、やはり自分としては的を絞り、中医学的な導引法や伝統太極拳を研究していきたいと思っています。
〜 太極拳のススメ〜
(この記事は3月10日にfacebookにアップしたものです)
春の養生法は、ゆったり伸び伸び過ごす。
太極拳などの柔らかいゆったりとした運動は、
脾胃の運化を促し、
全身の気血の流れを良くして五臓を滋養し、
身体の正気 (免疫のある状態) を養います。
【動画を載せてみました m(_ _)m】
コロナウィルスにおける非常事態の中、
不安も大きいとは思いますがますが、
気を付けながらも怖がり過ぎず、
〜ゆったりと 髪を解いて体をのびやかにし
新芽のように生き生きと過ごす〜
を心がけることが大切かと思います。
如何でしょうか。
「心を以って行氣し、沈着に務め、
骨に収斂することができる、
命意は腰の隙間に有り。
…… 立身須らく中正安舒、八面を支え、
行氣は九曲珠の様に隈無く行き渡るようにし、
少しも至らないところが無く、
氣は遍く身体に巡り滞る所がない。…… 」
(太極拳論 「武禹襄 十三勢行功要解」より)
“春における養生の道”
陳(ふる)きを推しひらき 新しきものをだし
天地の万物が生き生きと栄える季節である。
人は夜は少し遅く寝るが 早く起き
ゆったりと庭を歩み
髪を解いて体をのびやかにし
新芽のように生き生きと過ごすとよい 。
春は万物が生育の時 。
人もまた何かやろうとする意欲が芽生え
それを助長するようにし
生育しようとする力をそぎとらないように。
この法則に逆らうと 肝を傷つけることになり
夏になって身体が冷える。
こんな時だからこそ、中医学的な方法で体内バランスを整えて行きたいところ。
近いうちに、簡単な古式の導引法や、伝統の太極拳などもご紹介したいと思います。
お楽しみに🌸🌸🌸🌸🌸🌈