“春における養生” 

杏の林 中医・養生・薬膳ブログ

f:id:xing-lin:20200421164803j:plain〜春の養生〜

久々の投稿です。

(“春”のお話にしては遅い投稿、すみません)

中医学では、“肝”には「疎泄」(そせつ)という機能があるとされています。

気の巡りがスムーズに伸びやかに全身へ行き渡るように調節する機能で、気や血液の運行、臓腑の働きを正常にします。

それにより感情を穏やかにコントロールできます。

 

春は「生」の季節

陽気は盛ん(暖かく)になり、植物は萌芽(ほうが)し、生物は目覚め、人も活発に活動し始めます。

 

春は肝と深い関わりがあります。

この時期、肝の働きは活発になり新陳代謝が旺盛になります。肝の「疎泄機能」は、春の「生」性質に似て、

〜伸び伸びとすることを好み抑制を嫌う性質〜  を持っています。 

なので精神的な抑圧は、肝の疎泄の働きを阻みます。すると肝の疎泄の働きは鬱し、気の調節がスムーズに出来なくなり、怒りっぽくなったりイライラし易くなります。

黄帝内経』では、肝気が鬱しないように、軽い運動や散歩などをして伸びやかに過ごし、情緒の安定を心がけることが、春の養生法の一つとされています。

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 〜養生の基本〜 

コロナウィルが猛威を振るう昨今。

4月の始めに、政府より緊急事態宣言が各地域で表明され、更に “自宅自粛” の呼びかけが強まっています。

それに伴い、生活習慣の急激な変化や運動不足、精神的ストレスによる体調不良を訴える方々が増えています。

 

薬膳と並び、古い伝統の太極拳や気功などは “本当に力を抜いて丁寧に『放鬆 ファンソソン(全身を緩める)』 して練習 ”すると、全身の気血や陰陽五臓のバランスが整うようになり、体内の正気(免疫力)を養い、

「正気存内、邪不可干」“正気(≒免疫力)を内に保っていれば、邪気(病邪)は体内に入れない”(『黄帝内経』 上古天真論)

という状態になります。

 

正気を守ることは養生の基本です。

薬膳と共に、太極拳や気功を行うことで、その効果は高まります。

私は伝統太極拳を学んできました。そしてやはり中医学や薬膳学との深い関連を感じざるを得ません。

運動には色々なものがありますが、やはり自分としては的を絞り、中医学的な導引法や伝統太極拳を研究していきたいと思っています。

 

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太極拳のススメ〜

 (この記事は3月10日にfacebookにアップしたものです)

 

春の養生法は、ゆったり伸び伸び過ごす。

 

太極拳などの柔らかいゆったりとした運動は、

 

脾胃の運化を促し、

 

全身の気血の流れを良くして五臓を滋養し、

 

身体の正気 (免疫のある状態) を養います。

 

【動画を載せてみました  m(_ _)m】 

潮田佐枝子 - 呉氏十三勢。

youtu.be

コロナウィルスにおける非常事態の中、

 

不安も大きいとは思いますがますが、

 

気を付けながらも怖がり過ぎず、

  

〜ゆったりと 髪を解いて体をのびやかにし

 新芽のように生き生きと過ごす〜

  

を心がけることが大切かと思います。

 

如何でしょうか。

  

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「心を以って行氣し、沈着に務め、

骨に収斂することができる、

命意は腰の隙間に有り。

 

…… 立身須らく中正安舒、八面を支え、

行氣は九曲珠の様に隈無く行き渡るようにし、

 少しも至らないところが無く、

氣は遍く身体に巡り滞る所がない。…… 」 

 

太極拳論 武禹襄 十三勢行功要解」より)

 

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“春における養生の道”

 

春(立春から立夏まで)は

陳(ふる)きを推しひらき 新しきものをだし

天地の万物が生き生きと栄える季節である。

 

人は夜は少し遅く寝るが 早く起き

ゆったりと庭を歩み

髪を解いて体をのびやかにし 

新芽のように生き生きと過ごすとよい 。

 

春は万物が生育の時 。

人もまた何かやろうとする意欲が芽生え

それを助長するようにし

生育しようとする力をそぎとらないように。

 

この法則に逆らうと 肝を傷つけることになり

夏になって身体が冷える。

 

(『黄帝内経 素問「四気調神大論篇」より)

 

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こんな時だからこそ、中医学的な方法で体内バランスを整えて行きたいところ。

 近いうちに、簡単な古式の導引法や、伝統の太極拳などもご紹介したいと思います。

 

お楽しみに🌸🌸🌸🌸🌸🌈

 
 

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滋陰益髄、補肺腎気、潤肺 スープ

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先日フェイスブックにアップしました炸醤麺と一緒に作ったスープが、先日26日に完成したのでご紹介。

 

フェイスブックにアップした2/22 時点では

スペアリブ(骨付き豚肉)、虫花草(ちゅうそうか)、石斛(せっこく)、霊芝(れいし)、を先に煎じてスープを作っておきました。(4〜5時間)

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その後、2/26  他の具材を食べる前に加えて煮込み、完成させました。

患者の体質、中医学的に陰陽や気血津などのバランスがどうなっているか、を考慮して、

そのバランスを調整えることで、

「正気存内、邪不可干」

(正気を保てば、邪を干渉させない)

がかないます。

 

炸醤麺で疲れた脾胃と腎を整え、

スープで、虚労により免疫力不足、また素体の腎陰虚、肺気(衛気不足)、肺陰不足をフォロー。

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患者、男性、60代、職業 講師。

平素  腎陰虚証の体質。

3週間前に燥邪外感し感冒、仕事は休むことができず出張も続き、治りきらず久病、虚労。

講習会では講義しなごら一日中動きまわる立ち仕事、会場は空気が悪く乾燥してるので喉が乾燥して辛い。現在も時々咳が出る、喉の痛みも少し残る、喉が乾く、疲労感。

 

漢方薬局の煎じ薬で(銀翹解毒散など)で袪邪、薬膳で扶正する。冷やしすぎず腎肺を補い、潤わせる。

 

弁証: 腎陰虚、肺気陰不足。

治法: 滋陰益髄、補肺腎気、潤肺

施膳:「スペアリブ、虫花草、山薬のスープ」

 

材料:

●スペアリブ(=骨付き豚肉)

[骨]

甘・寒/甘䶢/腎/滋陰、鎮髄、袪風、止渴

偏頭痛、口渴、体力回復

[豚肉]

甘・平(微涼)/脾.胃.腎/補気補血補腎

乾咳便秘、体力回復

 

虫草花 (ちゅうかそう)

冬虫夏草の代用品 (効能:  冬虫夏草 > 虫草花)
甘・温/腎.肺/益腎補肺、止血化痰

慢性咳嗽、腰膝無力、遺精

 

●山薬 (= 山芋)

甘・平/脾.肺.肾/益気養陰/補脾肺肾
食欲不振、水養便、慢性咳嗽、頻尿、白带

 

●枸杞子 (くこし)
甘・平/肝.腎.肺/滋補肝腎、明目、潤肺
ふらつき、目眩、視力減退、涙目、腰膝倦怠

 

●白木耳  (白きくらげ)
甘淡・平/肺.胃.腎/養陰潤肺、益胃生津、涼血活血、降在

乾咳、血痰、口渇・美肌

 

●陳皮(ちんぴ)

辛苦・温/脾.肺/理気調中、燥湿化痰

 

●石斛  (せっこく、せっかく)

甘/徵寒/胃.腎/

生津養胃、滋陰清熱/明目強腰
舌干、口渴、腎陰虚、視力减退

 

●霊芝(れいし)

甘・平/肺.心.脾/補気補血

養心安神、健脾和胃、止咳平喘
衰弱、無気力、動悸、腫瘤

 

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味付けは塩と紹興酒少々。

ほとんど食材のみの味なので、とても薄味。

 

患者さん曰く、

“ほのかに苦味があり、お肉なのに身体に馴染む様にスルスルと入りましたので、一杯目をすぐにたいらげてしまいました。楽になる感じです”

とのことでした。

しっかり二杯目おかわりしてました(笑)

 

しばらく飲んで頂き、経過を観てみます🌈

 

➡️  1週間後、完治しました

\(^o^)/めでたしめでたし。チャンチャン❣️

 

 

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“我が家のソウルフード、北京風ジャージャン麺”

 

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我が家の炸醤麺

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旦那さんの仕事が本当に忙しく、しかも出張続きで、風邪をこじらせ体調を崩し気味。水曜2/25の夜帰宅なので、一昨日たくさん作っておきました。

 

炸醤麺は北京の代表料理の一つで、まさに北京っ子にとってのソウルフード

懐かしの故郷の味です。

 

日本に帰化した北京出身のHさんが、

同郷のお客さんが大勢見えた時も簡単で沢山作れるから便利だよー、

と教えてくれたジャージャン麺のアレンジ料理。

同郷のお客さんにとても喜ばれるそうです。

Hさんありがとう❤️

 

これを食べると旦那さんのソウルは歓喜します。 (私もか)

今や我が家のソウルフードなのです☀️

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中身は体調や服用中の漢方薬を考慮して、

薬膳的にチョイス。

 

北京は中国北方地域で寒い土地、これも元々は温性の料理だと思いますが、春に備えて熱がこもらないように。

 

疲れた脾胃の調子を整える野菜を沢山使い、豚と赤味噌で脾胃のケア&腎も補う。

 

赤味噌は<温性>気味ですが、除煩、解毒もします。

 

更に白ゴマのペーストを掛けると、本当に香りがよく合って益々食欲アップ。肺も潤してくれます。

(コレは天津 武術老師の霍家流。少しぬるま湯で伸ばして)

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↓白ごまペーストをかけると👍良い香り❣️

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虫草花とスペアリブの薬膳スープは、まだ製作中の物を試飲(^-^)んー、中々うまい😋

 

また次のブログで。

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体内陰陽バランスを整えることで、免疫力を落とさないことが大事です。

『正気存内、邪不可干! 』
しっかり食べて、コロナを噴き飛ばそう✊🏻

 

 

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恩師 梁蓓老師

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【 恩師 梁蓓老師との出会いから、今日まで 】

 

私は本当に、良い先生に恵まれている人生だなぁ、

とつくづく思います。

 
この世界に入るキッカケとなった恩師の梁蓓老師。

出会いは 2015年の春、首にできた湿疹の治療の為に、

東京都町田市の自宅近くにある“漢方・薬膳”「良仁堂 薬局」

(当時は、大木漢方薬局) を訪れたのが最初でした。

 

梁蓓老師は、こちらで漢方アドバイザーをされていました。

心温かく穏やかでユーモアに溢れ、

同時にご自身の分野に対する真摯な姿勢と確かな実力、

またそれを全く鼻に掛けない人柄の良さに惹かれ、

 私はこの方に学びたいなぁ、と思う様になりました。

 

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私が中医学、薬膳学に興味があると話すと、

北京中医薬大学 日本校 (現在の日本中医学院) を勧めて下さいました。

日本で本格的な中医学を学べる数少ない学校の一つで、

梁老師は北京中医薬大学日本校で、薬膳学の教授をされていました。

仕事をしながら学校へ通う…、

う〜ん、家族の意見を聞かないと…。

 

しかし私の旦那さんは太極拳の教師ですので中医学には理解があり、

薬膳科への入学を喜んで勧めてくれました。

私は思い切って、北京中医薬大学の門を叩きました。

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薬膳専科で1年間学びましたが、

学ぶ程に、更に深く知りたくなりました。

北京中医薬大学日本校の中薬科カリキュラムは3年間。

中国の北京中医薬大学の教科書の内容を学びます。

しかし学習の内容量が半端ではない。

中国の学生が、全日で4年かけて学ぶ所を、

私達は一月に4日間の授業に通い、3年間で修了する。

う〜ん、こちらは更にハイリスク。

 

梁老師にも相談すると、

「それはいい、そこまで深くやろうとする事は良いことよ!」

と背中を押して下さいました。

また家族の協力と理解もあり、

3年コースの“中医中薬科” に進む決心をしました。 

 

在学中の4年の間には、

梁蓓老師主宰の『日本中医営膳会』の会員となり、

‘薬膳講師養成講師’、‘薬膳茶アドバイザー’

の資格を取得しました。

  


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私が中医中薬科を卒業した 今年2019年の秋、

梁蓓老師は ご多忙の為、北京中医薬大学日本校を退職されました。


梁老師と卒業パーティーの席で一緒になった際に、

「私たち、一緒に卒業だね〜〜❗️」

と、いつもの明るく屈託のない口調でおっしゃいました。


一緒に卒業??なのかな?

確かに立場こそ違いますが、

同じタイミングで学校を去る事になりました。

学校を去る寂しさと共に、

私は勝手に、老師との ‘縁’ を感じつつ、すこし嬉しい気持ちになりました。

 

 

卒業と言う節目に立って振り返ると、

梁老師の存在は私のにとって、いつの間にか大きなものになっていました。

 

語ればキリがありませんが、

いつも大事な時に応援し、励まし、

背中を押してくれていたなぁ・・・と実感しています。

  

梁蓓老師、非常感謝😭💕

 これからもよろしくお願いします!

 

 

 

🍀🍀🍀下記の学校で 中医学、薬膳学を学びました

●一般社団法人 「日本中医営養薬膳研究会」

http://www.chuui-eizenkai.jp

●北京中医薬大学提携「日本中医学院」

https://www.jbucm.com

 

 

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